子供の心理学

心理社会的発達理論と不登校① ~心理社会的発達理論とは~

こんにちは。不登校支援センター大阪支部の森です。

今回から全3回にわたり、心理社会的発達理論と不登校の関連についてお話させていただきます。

1回目にあたる今回は「そもそも心理社会的発達理論とは何か?」ということについてお話させていただきたいと思います。

心理社会的発達理論とは

心理社会的発達理論とは、アメリカの精神分析家E.H.エリクソン(エリク・ホーンブルガー・エリクソン)が提唱した理論のことです。この理論の中でエリクソンは「アイデンティティ(自己同一性)」という言葉を生み出したと言われています。

エリクソンの心理社会的発達理論では「人間は生涯にわたり発達していく」という考えのもと、発達段階を乳児期から老年期までの8つに分け、各段階において達成すべき発達課題と達成されなかった時に陥る発達危機に加え、達成された時に得られる力が設定されています。この時、発達課題と危機は「〇〇対〇〇」もしくは「〇〇VS〇〇」という形で表記されることが多いです。

次に各段階の発達課題と発達危機、発達が達成された時に得られる力についてご紹介します。

各発達段階における発達課題と危機、得られる力

①乳児期(生後~1歳頃)

乳児期の発達課題と発達危機は「基本的信頼 VS 不信」です。

これが達成された時に得られる力は「希望」です。この段階での発達を遂げる際の主な関係者としては母親またはその代理となる養育者となります。

②幼児前期(1歳~3歳頃)

幼児前期の発達課題と発達危機は「自律 VS 恥・疑惑」です。

これが達成された時に得られる力は「意思」です。この段階での発達を遂げる際の主な関係者としては両親となります。

③幼児後期(3歳~6歳頃)

幼児後期の発達課題と発達危機は「積極性 VS 罪悪感」です。

これが達成された時に得られる力は「目的」です。この段階での発達を遂げる際の主な関係者としては家族となります。

④児童期(6歳~13歳頃)

学童期の発達課題と発達危機は「勤勉性 VS 劣等感」です。

これが達成された時に得られる力は「有能感」です。この段階での発達を遂げる際の主な関係者としては家族・地域となります。

⑤青年期(13歳~22歳頃)

青年期の発達課題と発達危機は「自我同一性達成(アイデンティティ達成)VS 自我同一性拡散(アイデンティティ拡散)」です。

これが達成された時に得られる力は「誠実性」です。この段階での発達を遂げる際の主な関係者としては仲間・ロールモデル(手本)となります。

⑥成人期(成人前期)(22歳~40歳頃)

成人期(成人前期)の発達課題と発達危機は「親密性 VS 孤立」です。

これが達成された時に得られる力は「」です。この段階での発達を遂げる際の主な関係者としては友人・パートナーとなります。

⑦壮年期(成人後期)(40歳~65歳頃)

壮年期(成人後期)の発達課題と発達危機は「生殖性(世代継承性)VS 停滞」です。

これが達成された時に得られる力は「世話」です。この段階での発達を遂げる際の主な関係者としては家族・同僚となります。

⑧老年期(65歳以上)

老年期の発達課題と発達危機は「統合 VS 絶望」です。

これが達成された時に得られる力は「英知」です。この段階での発達を遂げる際の主な関係者としては人類となります。

心理社会的発達理論のまとめ

このように人間は生まれてから死ぬまで一生涯にわたり発達し続けるという考え方をしているのが、この理論の特徴です。ご自身の年齢と照らし合わせながら読んでいただき、今現在自分はどの段階にいるのかということを把握するのに役立てていただけると幸いです。

また、2回目・3回目は不登校に悩まれる方が特に多いであろう児童期と青年期についてそれぞれ詳しくご説明させていただきますので、是非そちらもご覧ください。

 

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