子供の心理学

発達障害について②~ASDについて~

こんにちは。不登校支援センター大阪支部の森です。

前回はそもそも発達障害とはどういうものなのかということについてお話をしました。その中で代表的な3つの発達障害ASD・ADHD・LDを紹介させていただきました。

今回からは各発達障害の特性などについてより詳しくお話させていただこうと思います。

第2回目の今回はASDについてお話していきます。

ASDとは

そもそもASDとはAutism Spectrum Disorderの略称で日本語名では自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害と呼ばれています。

主な特性として対人コミュニケーションや非言語的コミュニケーションが苦手で、物事に強いこだわりがあるということが挙げられます。

ASDの発症率には性差があり、男性の方が女性よりも発症率が高く、その差は約2倍~4倍と言われています。

ASDの特徴は1歳半から2歳の間に現れることが多く、乳幼児健診や小学校に上がる前に行われる就学前健診の際に指摘されることもあります。

しかし、近年では「大人の発達障害」という言葉も広がっているように、子どもの頃には発見されず診断がついていなかったものの、大人になってから生きづらさを感じて検査を受けたらASDだったというケースも少なからず存在します。

またASDと診断されている方の中には適切な療育を受けることができておらず、2次障害としてうつ病などの精神疾患を発症してしまう場合もあります。この2次障害から不登校になってしまうこともあります。

ASDの主な特徴

ここからは「ASDとは」の中でASDの方はコミュニケーションが苦手でこだわりが強いと説明をしましたが、具体的にはどういうことなのかということについて説明していきます。

まずASDには2つの障害があります。一つ目が社会性・対人関係の障害です。

社会性・対人関係の障害

ASDの方は多くの場合、他者の気持ちや感情を想像することや理解することが苦手であるため、場の空気を読むことができなかったり、言わなくても良いことを言ってしまったり、会話がずれたりということが生じることもあります。また、非言語的なコミュニケーションが苦手で、相手の言ったことを文字通りに受け取ってしまうため、冗談が通じないという特徴もあります。このような特性を持っているため、トラブルになりやすく円滑に人間関係を構築していくことに困難が生じます。

二つ目がこだわり行動です。

こだわり行動

物の位置やものごとの順番、勝敗や自分のやり方への強い固執、興味や関心などの偏りが現れるのがこだわり行動です。こだわりの対象やその強さに関しては個人差があり、一人一人によって違います。中には聴覚や嗅覚、味覚などが過敏になり、特定の手触りやにおい、味のものに対して強い嫌悪を示す人もいます。味やにおいに敏感であるがゆえに偏食になる方もいらっしゃいます。自分の中にあるこだわりが強いがために周りに馴染めなかったり、他者からの指示が通らなかったりするため社会生活を営んでいくうえでの困難が生じます。

これらの特性に関しては、適切な療育や治療を受けることによって改善が見込まれます。

ASDの診断について

ASDは親御さんへの問診、行動観察、心理検査や知能検査を行うことによって診断されます。

問診ではお子さんの家での様子や幼稚園などでの様子などを聞かれます。

行動観察では医師がお子さんが遊ぶ様子などを見て、ASDの特徴が表れているかどうかを見ます。

心理検査や知能検査では知能水準や発達水準、パーソナリティを測定します。

主に使用される知能検査としてはウェクスラー式知能検査や田中ビネー知能検査があげられます。

これらの検査は病院で行い、それに基づいて総合的に判断し医師が診断を行います。

ASDの治療法

ASDは脳機能の障害であるため、完全に治ることはないと言われています。そのため、お子さんの特性に合わせて環境調整や療育で苦手な部分を補っていく必要があります。

①環境調整

お子さんの特性に合わせて生活環境などを調整していくことです。例えば、ASDのお子さんの場合、変化することや聴覚情報による指示が苦手である場合が多いため、その日の予定を視覚情報として提示したりすることも環境調整として有効な手段になります。

②療育

お子さん一人一人の特性や発達段階に合わせて、様々なサポートを行い困りごとの解消や社会参加を促します。ソーシャルスキルズトレーニング(SST)と呼ばれる社会生活を営む上での必要なスキル(コミュニケーションや自分の行動をコントロールするなど)を身に着けるためのプログラムを受けることも有効な手段です。

最後に

前回の最後でもお話をしましたが、発達障害は周囲の方がその特性について正しく理解し、必要なサポートをしていくことがとても大切になります。この記事を読んで少しでもASDに興味を持たれた方はご自身でも調べたりしていただき、理解を深めるきっかけにしていただけると幸いです。

次回はASDと併発することの多いADHDについてご説明させていただきます。

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